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organic & vegan
by enjoycafeohana

ことばのひかり。

あーあーあーという言葉にならない声が
いつの間にか、意味を纏うようになった。


来客があったり電話で話していると、すかさずそばに来て
「だれぇ?」
日常のふとした場面で、まだ名前のわからぬものに出くわすと
「なにぃ?」
と、問いかけてくる。

1日に何度もなんどもなんども
「だれぇ?」
「なにぃ?」

小さいひとは日々、新しい言葉を自分の中にインストールし
そうしてスポンジのように目の前にある世界を吸収していく。


もう2ヶ月も前のことだが、こんなことがあった。


窓を指差し、
「あ!あ!」と何度も何かを訴えている。

台所で仕事をしていた私は手を止めて
彼のいる窓辺に近寄り、彼の指差す先を見てみると
そこに、小さなカエルがへばりついていた。

「あ、カエルさんがいるね」

私の言葉を聞き、彼はカエルさんか!と、やっと納得したようだ。

すると、急に何かを思い出したように
本棚へと向かった。

そして、何冊か本を選び取りこちらへ持ってくると、
すかさず本を開き、「あ、あ!」と指を指した。
ほら、ここにもいるよ!という顔をして。


私は全くびっくりしてしまった。
それまで小さい人に本を読み聞かせたことなど、
ほとんどなかったからだ。
いつの間に彼は本を見ていたのだろう。
しかも、カエルと聞いて、絵本の絵と同じと気付くなんて。

そんな驚きを隠して、
「あ、ほんとだ、ここにもカエルさん、いるねえ」
そう答えると、
今度は別の本をぺらぺらとめくり、
「これ!」と、指をさして教えてくれた。
すごいすごい、まったく感心してしまう。

「カエル」というと
「かゆる」と復唱する小さな人。
もう一度「カエル」と教えると
「かぇる」と練習する。
そして、ようやく何度目かの復唱で
カエルと発音できるようになった。


思えば、この頃からだろうか。
それまではまったく本に感心がなかったのに
急に絵本の読み聞かせをひんぱんにせがむようになったのは。
もしかしたら、本は本だけの世界ではなく
自分自身との世界をつなぐものとして認識したのかもしれない。


この話の顛末を友人に話すと
「そうか、げんたもついに地球人になってしまったか」
と言った。

なるほど、地球人か。
それまではきっと宇宙人だったんだねえ。。。
ついに、根を下ろしたか。笑


でも、本当に。
この頃から急激に世界に対する態度が変わった気がする。
より貪欲に、世界を吸収しているような、気がするもん。



言葉が、彼の世界に彩りを添えていく。
いや、添えるなんてもんじゃない。
色濃くしていくんだ。

言葉は、光。

これまでぼんやりとしていたものが、
よりくっきりとはっきりとより鮮明になる。

言葉という光が、
彼の世界をますます力強く輝かせていくんだね。


ほんの1週間前くらいから始まった
「なにぃ?」
「だれぇ?」

私は、そのたびに一度立ち止まり
一緒になって世界を切り拓いていく。

言葉という光を放ちながら。






by enjoycafeohana | 2016-10-08 08:27
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